あなたは アクセスカウンター 人目のお客様です。
         

研究テーマ・12−2(真空管MCヘッドアンプ)

研究名 真空管MCヘッドアンプ
研究終了 2020年8月

内容説明

トップの写真は2020年8月に研究を終了した真空管MCヘッドアンプを含む真空管プリアンプの正面の写真です。

 

右側の一段低いシャシー部分が真空管MCヘッドアンプです。

 

次にMCヘッドアンプ部分を拡大した写真を掲載します。

 

次にMCヘッドアンプ部分を後から見た写真を掲載します。

 

向って左側がMC入力端子とシャーシーアース端子、右側が出力端子です。

 

次にMCヘッドアンプ部分の裏面の写真を掲載します。

 

上半分がMCヘッドアンプ回路を搭載した増幅部基板です。

 

MCヘッドアンプ回路の下にはシールド板をつけました。

 

シャシー部分の4つのネジ穴から推測してください。

 

同じく下半分がMCヘッドアンプ用のサブ電源基板です。

 

本体プリアンプ側にも電源基板があるので区別するためにサブ電源基板と称する事にしました。

 

 

 

☆.増幅回路

 

1.MM用EQの高利得化

 

MM用EQの初段のカソード抵抗1.5kΩを小さくして高利得化し、これによってS/Nの改善を測ってみました。

 

具体的には等価カソード抵抗を約119Ωに下げ、最低域ではNFBがかからなくなるまで利得を上げた結果、1kHzの利得は元の利得より21.9dB上昇しました。

 

RIAA定数も若干変更し、試聴に足る特性にしましたが、歪率を測定したところ、特に20Hzでの最低歪率が0.05%から0.5%へ1桁悪化しました。

 

試聴してみたところ、全帯域で十分なNFBがかかっている元のEQに比べ、低音の音程が上がったように聞こえ、低域の音の切れが悪くなったように感じました。

 

これは低域のNFBがほとんどかからなくなった為に音質が変わってしまったものと思いますが、S/Nについては約4dB改善しました。

 

 

 

2.最初のMCヘッドアンプ付きプリアンプ(H1)

 

前記の結果から、カソード抵抗が低いMCヘッドアンプを作ろうと考えました。

 

過去の経緯からMCヘッドアンプも当然SRPPでしかるべきと考えていたので、4球構成でした。

 

次に最初のプリアンプ全体の前面写真を掲載します。

 

次に最初のMCヘッドアンプ回路図(L)を掲載します。

 

R−CHは原則としてL−CHの回路図番号に1を加えて偶数にしますが、図は省略します。以下同じ。

 

初段の真空管には、12AX7と同等の6.3V管で、ローノイズ選別が期待出来る6N2(北京真空管公司製)を採用しました。

 

前述の通り、初段の等価カソード抵抗を出来るだけ低抵抗(この時は約102Ω)にしたわけですが、利得をMMとMCの出力差24.4dBに近くしようとすると、NFB抵抗もそれなりに小さくなります。

 

この抵抗を計算したところ1.8kΩ程度になりましたが、NFB抵抗は2段目の負荷でもあるので、とんでもない低抵抗負荷だということが分かります。

 

無理な回路を組めば最大出力が低下します。

 

ではどのくらい出れば良いのか、確定的なことは言えませんが、MM用プリアンプを作った時の経験から言えば、電源電圧が220V程度という条件で20Vくらいが出れば良いのではないかと思いました。

 

そこで2段目用として、例えばヒーター電力が12AU7程度で、12AU7より大きな電流の流れる真空管を探したところ6922が見つかりました。

 

6922は12AU7と比較すると同一条件で3.5倍くらいの電流が流れます。

 

次に前記の回路による利得とF特を掲載します。

 

 

低域の裸利得が低いのはカップリングコンデンサーを通してNFBをかける為に低域が不安定になり、対策として段間のカップリングコンデンサーを小さくしたからです。

 

しかし、5Hzの落ちがやや気になるところです。

 

歪率特性図は省略しますが、20HzはNFBが少ないので他より多少見劣りします。しかし、最低歪率は0.02%ですから問題ないと判断しました。

 

1kHzや20kHzは20V出力で0.2%程度の歪率で、筆者の判断としては低抵抗のNFBは成功したと思います。

 

MM用EQを接続し、Aカーブフィルターを通したS/Nは高利得EQとほゞ同じで、MM用EQより約4dB良いというものです。

 

試聴してみたところ、明るい音質で、しかも『音楽』が聞こえてきて、これはやはりSRPPによる音質と思いました。

 

しかし、重低音がほとんど聞こえなかったので回路図を見てみるとC13//C15とR21、R07//R05による周波数が約1.8Hzなので、これが原因と思いました。

 

 

 

3.MM用EQの見直し

 

ここで、MM用EQの改善を記します。

 

一つ目の変更点は電源リップルの改善の為にMCヘッドアンプ同様のRC(R37=10kΩ、C29=47μF)を入れました。

 

もう一つは経年変化によるRIAA偏差のズレの修正で、見直し後の回路図(改5)を掲載します。

 

次にこの回路によるRIAA偏差特性を掲載します。

 

MCヘッドアンプのS/Nや音質の評価に使用するので、RIAA偏差は意識して修正しました。

 

200Hz付近が若干上がっているのは筆者の音質の好みを反映させたものです。

 

初段用の電源フィルターによってリップル性のノイズは聞こえなくなりました。

 

S/Nは、出力雑音電圧を入力に換算すると−123.5dBVとなりました。

 

 

 

4.初段を2パラ(H2)

 

話をMCヘッドアンプに戻します。

 

前記MCヘッドアンプを製作した頃、ある人から『真空管でも初段を2パラにしたらもっとS/Nが良くなるのではないか』との意見を聞きました。

 

そこで初段を抵抗負荷にして同じ球数で2パラ化したものを試作してデータを取り、試聴したのですが、やはり音楽性で満足出来ませんでした。

 

次に2パラ抵抗負荷の回路図を掲載します。

 

C15を47μFから100μFにしたのですが、まだ重低音は不十分でした。

 

ただし、S/Nは最初のMCヘッドアンプ回路(H1)の時よりさらに約2.5dB良くなりました。

 

 

 

5.2パラ+SRPP化(H3、H4)

 

MCヘッドアンプのS/Nを取るか、音楽性を取るかで悩んだあげく両方を取る事にして、真空管を増やし、2パラ+SRPPにすることにしました。

 

ただし、真空管は同じものを使うと2本増になるので、同等電圧同等バイアスで約2倍の電流が流れる双3極管を探して、左右合計1本増で済ませたいと考えました。

 

シャシーに穴をあける前にサブMT管6N21B(ロシア名:6H21Б)で予備実験を行いS/Nと音楽性が両立することを確認しました。

 

ここまでH3。

 

 

そして、シャシー上に出す為のMT管を探したところ、5751という12.6V管が見つかりました。

 

同時にC15の並列コンデンサーとしてC17=100μFを追加して周波数を0.42Hzにしました。

 

次に増幅回路の最後の回路図を掲載します。

PDFファイルをご覧になりたい方は をクリックして下さい。

 

なお、R14は470kΩを510kΩにしてL−CHと特性が合うようにしました。

 

次に利得F特の図を掲載します。

 

次にF特詳細の図を掲載します。

 

次に20Hzの出力電圧対歪率特性を掲載します。

 

次に1kHzの出力電圧対歪率特性を掲載します。

 

次に20kHzの出力電圧対歪率特性を掲載します。

 

次に出来上った増幅回路の部品面の写真を掲載します。

 

 

 

☆.電源回路

 

このMCヘッドアンプには電源トランスが無く、本体の電源基板を改造してその途中から取り出すことにしました。

 

理由はトランスと増幅回路用の整流回路に余裕があったことです。

 

次に改造後の主電源回路図を掲載します。

PDFファイルをご覧になりたい方は をクリックして下さい。

 

上図の中段に『to MC Head』が2つ、『to MC Earth』とあるところからサブ電源基板に接続します。

 

MCヘッドアンプの回路が負荷として増えましたので、R02を1kΩから560Ωに変更しました。

 

次にサブ電源回路図を掲載します。

PDFファイルをご覧になりたい方は をクリックして下さい。

 

この図の上半分は増幅回路用の定電圧型のリップルフィルターです。

 

この図でアース線が点線になっているところはプリアンプ全体としてのアースループ回避のために切断したところです。

 

この図の下半分はヒーター直流点火用のLPFですが、ヒーター電圧はS/Nを稼ぐために定格の約85%(5.4V)にしました。

 

リップルの主成分である100Hzは50dB以上減衰しています。

 

次に出来上ったサブ電源基板の部品面の写真を掲載します。

 

 

 

☆.ヒアリング

 

2パラ+SRPPの最終版(H4)は、音質的には4球(H1)とほゞ同じですが、さらにS/Nが良くなり、一層豊かな音楽性を再現してくれたと思います。

 

また、重低音も満足出来ました。

 

MCヘッドアンプとMM用EQ付きプリアンプを接続した時のS/Nですが、Aカーブフィルターを通した雑音電圧を入力に換算すると−130〜130.5dBVとなりました。

 

MCヘッドアンプを追加する事によって、S/Nが約6.5dB良くなったという事かと思います。

 

研究テーマ11のOTL真空管DCアンプと接続して、電源以外はトランスを使用しない完全トランスレス全真空管アンプで静かに音楽性豊かにMCカートリッジの音を聴くことが出来るようになりました。

 

 

 

 

                             以上

 

 

このページのトップへ戻りたい方はここをクリックして下さい。

 

 

真空管プリアンプへ戻りたい方はここをクリックして下さい。

 

 

トップページ(目次)へ戻りたい方はここをクリックして下さい。