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研究テーマ・1(ダイオード・ブリッジ整流回路の高効率化・追加論)

研究名

ダイオード・ブリッジ整流回路の高効率化

 副題 正弦波同期整流回路の開発

発 表 雑誌・トランジスタ技術2011年8月号/CQ出版社

内容説明

 

☆.このページは追加論『スイッチングトランスの巻線』です。

 

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☆.追加論ではこの回路の高効率達成のもう一つのポイントであるスイッチングトランスの巻線についてお話ししようと思います。

 

コアについても論ずべきところはあろうかと思いますが、一般的にはコアサイズの選択が主であろうと思います。

 

今回はTDKのPC40EER42−ZというコアとBEER42−1114CPFRというボビンを使いましたが、その選択についてはさらに調べれば別の選択があったかも知れません。

 

このコアについて詳しく知りたい方はここをクリックしてください。

 

このボビンについて詳しく知りたい方はここをクリックしてください。

 

購入を希望する場合は当HPのリンク集にもありますが、『株式会社 晴恒』の秋葉原の事務所で1個から購入出来ます。

 

また、巻線方法はトランス技術者に委ねたいとの考えもあるかも知れませんが、筆者はそこに立ち入ったつもりなので、筆者の手法をここに記する次第です。

 

.さて、巻線の方法についてですが、先ずエネルギーは1次巻線から発してコアを経由して2次巻線が受け取るものだと思います。

 

電磁結合と言えば良いでしょう。

 

しかし、その道の先輩の意見もあり、考えてみました。

 

その意見とは『巻線と巻線の空間結合も加算して効率を上げよ』と言うものです。

 

これを具体的に考えると次のように考えられます。

 

.巻線を積み重ねる順序は内側から@2次主巻線の1、A1次巻線、B2次主巻線の2、C2次副巻線とする。

 

.2つの2次主巻線は同一巻数とし、並列接続または直列接続して用いる。

 

☆.以上をトランスの擬似断面図にすると通常は第1図、ただし、必要がなければ『2次−2』はない、とするところを第2図、ただし、必要がなくても2次を2等分して巻くということになります。

 

なお、2次副巻線は省略します。

 

2次巻線の1と2を並列接続するのは比較的低圧を作る場合、直列接続するのは比較的高圧を作る場合及びプラマイ電源を作る場合かと思います。

 

こうする理由は、1次巻線の内側と外側の両方に2次巻線を配置することにより、1次巻線と2次巻線の空間結合が最大になる筈ということです。

 

.さらに巻線の幅は上記@Bの幅をなるべく等しくし、なるべくボビンの幅いっぱいに巻く。

 

 

☆.次に巻線検討の為の表を作成します。

 

これは実際に巻く前に紙の上で事前検討をする為のものです。

 

この表の作り方は絶対的なものではなく、筆者の手法というだけです。

 

今回は3種類の巻き方について検討しました。

 

 

上の表について説明をすると次のようになます。

 

.巻線方法というところの1次線形の『0.4φ×4本並列×14回折返(計28回)×2段並列』ですが、0.4φのUEW通称エナメル線を4本並列にして、ある巻き始めの端子からボビンの端に入り14回巻きます。

 

そうすると反対側の端まで来ますので、折り返してさらに14回巻き、巻き始めの近くまで戻り、巻終り用の端子に誘導します。

 

これをもう1回今の巻線の上に巻いて2段を並列接続にします。

 

エナメル線を巻き重ねる時は間に絶縁紙を入れましたが、それは表の下の方に書いてあります。

 

.その他の巻き方として、2段目は単に前記の巻数を1/2にしただけですが、3段目の『0.1t×22幅×14回巻』は22mm巾で厚みが0.1mmの銅板を14回巻くというものです。

 

銅板にはエナメル線のような絶縁膜がないので、表の下の方の巻厚のところに銅板と絶縁紙の厚みを増やして記入しています。

 

.同表の右の方には上から順に断面積、巻幅、周囲長、1次インダクタンスを算出して記入しています。

 

断面積は電流値から考えるべきものと思います。

 

巻幅算出時には線径にウレタン被膜の厚みを加算する必要があります。

 

今回使用したボビンの巻線用の幅は27.5mmです。

 

周囲長はスイッチング電源ですので、表皮効果から考慮すべきものです。

 

1次インダクタンスは駆動周波数から考慮すべきものです。

 

また、1次インダクタンスはコアのAL値を約0.77倍して算出しています。これは過去の実績値から推測したものです。

 

.2次側の巻線方法についても同様の書き方をしますが、この中の『内外並列』とは、今回は低圧出力としたので内側の2次巻線と外側の2次巻線を並列にしたという意味です。

 

.その下の紙と銅線が繰り返し書かれている部分は巻厚を出すためのものです。

 

今回使用したコアとボビンのによる巻厚用の高さは5.5mmです。

 

巻線ごとに絶縁用の紙を入れたのはスイッチング電源の場合1ターン当たりの電圧が約5V程度になり、結果として例えば1次側の巻初めと巻終りが上下で隣接するからです。

 

.今回採用した巻き方は1次も2時も最上段(最左列)のもので、巻厚が4.32mmのものです。

 

.巻き順は前記の第2図のとおり、2次側の1、1次側、2次側の2、2次側の副巻線の順です。

 

今回の2次副巻線は3回巻きが3つなので、1段に並べています。

 

2次巻線は通常負荷電流は小さいのですが、0.4φを使いました。

 

 

☆.上記の線径から見ると、このトランスの許容電力は500W程度であったと思います。

 

1kWを通過電力とするためには、コアの選択とともに再考するべきものであったと思います。

 

次に巻き終わったトランスの写真を掲載します。

   

 

 

ここからはおまけの写真で、先ず1次整流を普通のブリッジで整流している本体回路の斜め写真です。

 

スイッチング電源は駆動側のMOSFET、2次側同期整流のMOSFETはいずれも2本並列なので、アルミ板に2段に並べています。

   

 

次は1次側の電力測定器の写真で、600W以上を測定するときの分流線が見えます。

 

アナログ電力計の隣は1次の電圧と電流を測るワットチェッカーで、その右上は突入電流緩和器です。

   

 

次は測定用の負荷抵抗群と右奥は負荷電流検出器です。

   

 

最後は、左は本回路、右が2次側の直流電圧と電流を測るちょっと高級なテスターです。

 

なお、2次側の電流は電流検出器の出力電圧をテスターで測り、換算しています。

   

 

                             以上

 

 

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